膏肓記


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大国実頼の諸大夫成?
2009/07/05 23:35

NHK大河ドラマ「天地人」第27回「与六と与七」

ドラマは天正15年から翌16年の聚楽第行幸あたりをやっていましたね。

前回、小早川隆景が登場して、秀吉のそば近くにいましたが、なぜ隆景が出てきたのか、脚本家の意図がわかりません。横内正が演じていましたので、今後も登場するのでしょうか? ちなみに、あの時期、隆景は在京していません。念のため。

さて、今回、聚楽第のCGが出ていましたね。
聚楽第の全貌があれほど、しかも俯瞰で見られたのは初めてです。
復元のしかたが正しいのかどうか、私には判断がつきかねますが、ちゃんと奧に天守閣があり、手前に池のある庭園とともに西本願寺にある飛雲閣そっくりの建物がありました。もっとも、飛雲閣は聚楽第の遺構ではないという説が最近は有力だったと思いますが。

今回は小国与七こと、大国実頼が主役といってもよかったですね。
小国家は出羽小国城主で、実頼は小国三河守真将の養子となり、家督を継いでいます。

実頼が聚楽第落成と秀吉の九州攻めからの凱旋を祝すため、上洛したのは天正15年(1587)11月。
実際は、上杉家の人質としての上京だったといわれています。だから、兼続から離れるため、あるいは上杉屋敷造営のために在京したわけではありません。

ドラマでは在京中、秀吉から従五位下叙位、すなわち諸大夫成(しょだいぶなり)をし、さらに小国から大国へ改姓していました。
大国に改姓したのは事実ですが、果たしてこの時期だったのか、また秀吉の命だったのかは不明です。上杉家臣団の系譜を収録した「御家中諸士略系譜」(『上杉御年譜』23所収)の大国但馬守実頼の部分には次のように書かれています。

「小国氏家督後に故有り、大国に改め、天正十五年十一月諸大夫に任ぜらる」

これを見るかぎり、大国氏への改姓は上洛以前のようにも見えます。
また実頼が諸大夫成したと書かれているのは、おそらくこの系譜だけで、それを裏づける史料はほかにないと思われますので、詳細は不明です。

豊臣政権時代、大名や陪臣の公家成・諸大夫成の事例を網羅してあるのは、下村效「天正 文禄 慶長年間の公家成・諸大夫成一覧」(『栃木史学』7号、1993年)です。
これによると、天正15年の諸大夫成には大国実頼の名前は見えません。翌16年、上杉景勝が聚楽第行幸のために上洛したとき、景勝が三位(参議もか)に叙せられ、清華成したのに伴い、兼続・色部長真・荻田長繁の3人が諸大夫成したことは書かれていますし、実際に兼続の口宣案も現存していますから間違いありません。

それに比べて、実頼の諸大夫成は裏付けとなる史料に欠けています。
本来、諸大夫とは、親王・摂関家・清華家など上流公家の家司のことです。
それにならって、武家陪臣の諸大夫成という先例をつくったのは秀吉で、天正13年(1585)7月、関白に任官したとき、十数人の家臣を率いて参内しました。この家臣たちが秀吉への供奉のため、諸大夫成しています。石田三成・大谷吉継などです。
兼続ら陪臣の諸大夫成は、その先例にならったもので、徳川・前田・毛利・宇喜多など五大老クラスの大諸侯が清華成したのに伴い、その参内に諸大夫として供奉するために、少数の重臣たちが諸大夫成を認められるようになりました。
したがって、景勝の清華成以前に、その家臣が諸大夫成するのは原則的にありえないと思います。

上杉家と同格の大名である中国の毛利氏の場合も、輝元が景勝に少し遅れて上洛します。そして従四位下参議に叙任され、清華成するとともに、一門・重臣の堅田元慶・渡辺長・粟屋元貞・国司元蔵・穂田元清・口羽春長・福原元俊・林就長・三浦元忠の9人が諸大夫成をしています。

このような事例を見れば、実頼の諸大夫成は疑問符が付きますね。
もっとも、別の事例もあります。諸大名は豊臣政権への服属のしるしに、親族や重臣の子女を人質に差し出しています。
たとえば、真田信繁もそうで、在京している間に秀吉の近習となって諸大夫成し、左衛門佐と名乗っています。
実頼のケースはむしろこの事例に該当するでしょうか。でも、実頼は秀吉の近習になった形跡はありません。う〜ん。

兼続とお船の間にどうやら子どもができたみたいですね。
縁組してから7年目です。
これはのちの「お松」でしょうね。
『兼見卿記』文禄4年(1595)8月条にお船が子女と吉田社を訪れていますが、それにある「十一歳息女」がお松だと思われます(今福匡『直江兼続』)。
逆算すると、生年は天正13年(1585)ですね。ドラマより3年前に生まれたことになります。

次回は独眼竜政宗登場ですね。
すでに真田幸村(信繁)は登場済みですし、今後は前田慶次や大谷吉継も出てくるでしょうから、ますます歴女好みのドラマになりそうな(爆)。

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カテゴリ:天地人

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