膏肓記

歴史作家桐野作人のブログ  織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記

 
吉川弘文館より、近刊を何点か入手。
先日、購入した際に注文し忘れたものが多い。

小林清治『伊達政宗の研究』
久保貴子『徳川和子』(人物叢書)
宮島敬一『浅井氏三代』(人物叢書)
江後迪子『信長のおもてなし』(歴史文化ライブラリー)
木戸雅寿『よみがえる安土城』(歴史文化ライブラリー)


このうち、小林氏は『伊達政宗』(人物叢書)や『秀吉権力の形成』などで知られているが、この著書は遺作となった。
「あとがき」に著者の当初の構成案が書かれているが、幕藩体制下の政宗など予定されていて、書かれなかった章も多いのは惜しまれる。
しかし、著者の畢生の作品であることは間違いない。

気になったところだけ斜め読みしたが、支倉六右衛門の通説的な諱である「常長」については、一次史料にはなく、遣欧使節のときに名乗った「長経」が本当の諱だとされるようになった。
これに対して、著者は「常長」は「支倉家譜」にしか見えないが、父飛騨常成をはじめ、支倉氏が「常」を通字としているのを考えれば、「常長」も父飛騨の切腹以前の名乗りで、遣欧使節の頃に「長経」に改名したのではないかと述べている。
一次史料にはない通説的な考え方も、それなりに尊重すべきだという見解のようである。

あと、政宗は自筆の書状が多いという点も興味深い。秀吉に服属する天正19年(1591)までの現存する書状で、筆跡を判別できるもの334点のうち、半分以上の171点が政宗自筆だという。
弱冠25歳までの政宗の大名権力のありようを考えるうえで興味深い。信長文書千数百点のうち、自筆はわずか数点とされるのとは対照的である。その違いは何に基づくものなのだろうか。

『徳川和子』の著者とは旧知で、以前、輪読会などでご一緒したことがある。近世朝幕関係の専門家として、近年、相次いで論著を公表されている。
「まえがき」に、タイトルを「徳川和子」「東福門院」のどちらにするか迷った話が書かれていて、興味深かった。なかなか難しい問題だと思う。
ミネルヴァ書房の「日本評伝選」シリーズでも『後水尾天皇』を上梓されている。
最近、江戸時代の近衛家についてご教示を得て大変参考になった。これからも、さらなる活躍を祈ります。

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吉川弘文館の表題のシリーズ。
以前、いくつか買ったり、寄贈されたりしたが、最近、購入していなかったので、同社からまとめて購入した。

12 西国の合戦
14 一向一揆と石山合戦
16 文禄・慶長の役
17 関ヶ原合戦と大坂の陣
18 戊辰戦争


それと、歴史文化ライブラリーシリーズから

猪飼隆明『西南戦争』も合わせて購入。
サブタイトルに「戦争の大義と動員される民衆」とあり、これまでにない視点から描かれているかもしれないと注目している。

全部、合戦、戦争ものばかりである。

せっかくまとめ買いしながら、

宮島敬一『浅井氏三代』(人物叢書)

を注文するのを忘れていた。やんぬるかな。

同社のサイトを見ていたら、今月の新刊として次の著作を発見。

越前朝倉氏の研究 松原信之著(三秀舎・発行 吉川弘文館・発売) A5判/定価12600円

伊達政宗の研究 小林清治著 A5判/定価12600円


このうち、小林氏は最近亡くなられている。
だから、これは遺作になるのだろうか?
永年、伊達政宗に取り組んでこられた著者にふさわしいテーマの本であるのが、せめてもの供養かもしれない。

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新刊の紹介です。
最近、寄贈していただいたものです。
感謝の気持ちを込めて紹介します。

寺尾美保『みんなの篤姫』 南方新社 2008年
詳しくは、ここにあります。

寺尾さんは鹿児島の尚古集成館の学芸員。
この本は、子どもや歴史初心者向けです。活字も大きく、総ルビになっているのが大きな特徴。
小学生でも読めますね。
しかも、写真や図版が豊富で、とても面白そうです。
ドラマの篤姫を見て、興味をもった子どもたちに、さらに深く知ってもらうには最適ですね。
なお、寺尾さんは昨年は『天璋院篤姫』(高城書房)も刊行されて、篤姫の本格的な伝記として好評を博しました。

植松三十里『お龍』 新人物往来社 2008年
詳しくはここをご覧下さい。

お龍はもちろん、坂本龍馬の妻だった人です。
史料が少ないので、小説にするのはなかなか難しいですが、植松さんはそれにチャレンジされました。まだ目を通しきれていませんが、龍馬死後の分量が半分近くあるようです。そこに著者の意図するところもあるのではないかと推察されます。お龍にとっては、長い後半生でしたからね。
植松さんは近年、精力的に新刊を公表されています。見倣わなくてはいけません。


ほかにも、リンク先のむとうすさんから、泉州堺についてのガイドブックをいただきました。
なかなか使えそうです。
むとうすさんは先日上京され、一献傾けました。
楽しい一時でした。

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一応、私の新刊が出ているようです。
校正をしたのが、かなり前だったので、すっかり失念しておりました。

長く塩漬けになっていたので読者のみなさんには申し訳なく思っておりましたが、何とか完結できました。

まだ、告知が出揃っていないですが、とりあえずはここにあります。

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時代劇チャンネルでずっと放映していた大河ドラマ「翔ぶが如く」が今夜、最終回だった。
西南戦争はわずか2回とちょっと(3回目冒頭が城山と西郷の最期)で、原作とくらべれば、著しく時間配分がアンバランスだが、こればっかりは、予算的な制約があったろうから致し方あるまい。

それにしても、よく出来たドラマだった。18年前にも見たはずだが、記憶が薄れているというだけでなく、新たな発見がたくさんあり、史料や史実をうまく消化して制作していたことに感心させられた。

後半の重要な脇役で、熊本民権党の宮崎八郎を彷彿とさせる矢崎八郎太(堤真一)と、その恋人で会津藩の女性をイメージさせる芦名千絵(有森也美)は創作されたキャラクターで、18年前に観たときには、この2人が全体から浮き上がっている感じがして鼻についた記憶があったが、今回はそう感じなかった。むしろ、薩摩人の世界に異質な2人を放り込むことで明治初期の別の面を醸し出す効果があった。

とくに大久保を演じた鹿賀丈史が回を追うごとに容貌が似てきて、大久保に成り切っていくように感じられ、快心の演技だったと思う。


ところで、鹿児島の老舗書店、春苑堂書店から恒例の『鹿児島県史料』の配刊あり。今回は次の2点。

1,西南戦争 第4巻

2,旧記雑録拾遺 家わけ11


1は、一見して古い既刊の『西南の役薩軍口供書』(吉川弘文館、1967)と同じかと思ったが、薩軍兵士の配列が違っていた。

2は「桂家文書」「末川家文書」「末川家文書 家譜」の3種が収録されている。
このうち、「桂家文書」はほんのわずかで、ほとんどが末川家関係である。

末川家といってもなじみがないかもしれないが、明治になってからの名乗りで、近世は新城島津家と呼ばれた家。
新城島津家といえば、垂水島津家の分流ながら、島津義久の血統を保持していた家で、近世初期、藩祖島津家久に対抗し、知る人ぞ知る特異な立場にあった。
それだけに、とても興味深い。読むのが楽しみである。

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