今夜、古文書塾てらこやの第四回講座だった。
幕末土佐藩の重役、寺村左膳の日記『寺村左膳道成日記』を読んでいる。今回が三回目である。
今回は慶応3年(1867)5月23〜24日前後の四侯会議について、かなり突っ込んだ検討をした。
じつをいえば、この時期の寺村の日記は、本人が病気がちで情報伝達が一日ないし二日遅れているうえ、経緯を詳しく把握していないようである。
そのため、以下のような当事者たちの史料を援用して、互いに内容を比較検討することにした。
薩摩藩:大久保利通日記
越前藩:続再夢紀事
宇和島藩:伊達宗城在京日記
朝廷(一会桑派):朝彦親王日記
朝廷(王政復古派):中山忠能日記
幕府:徳川慶喜公伝・昔夢会筆記
比較してみて、諸勢力、とくに薩摩と幕府の駆け引きがとても興味深い。お互いに相手の弱点を叩き合うという戦術を採用している。
焦点の長州寛典問題で、薩摩藩が幕府の長州再征の非を鳴らすのに対して、幕府側は長州の禁門の変の「罪」を問うという具合。お互いが議論の前提を自分の都合のよい地点に設定しているのが面白い。
史料の重複が多かったり、内容の把握が難しかったりするなかで、受講生のみなさんには相当の負荷をおかけしたのではないかと思うが、最後の慶喜の『昔夢会筆記』の談話はほとんど現代語だから、かなり理解してもらえたように思う。
四侯会議といっても、つまるところは薩摩藩と幕府、とりわけ大久保利通と徳川慶喜の対決であることがよくわかった。
大久保は同盟相手である長州藩の復権のために、慶喜はひそかに諸外国に兵庫開港を約束してしまった手前その辻褄合わせにと、お互いに本音を隠して、建前論を徹底的に戦わせている醍醐味を味わっていただけただろうか。
次回はいよいよ今次の最終回。四侯会議解体により、討幕へと突き進もうとする薩摩藩と、それを阻止しようとする土佐藩、とりわけ、「止め男」後藤象二郎の登場である。
本講座の詳細は以下のサイトにありますが、来年1月からの新講座の日程が決定したのに、なぜか更新されていません。講座の性格や雰囲気を掴むための参考にはなると思います。
http://www.shopro.co.jp/komonjo/index.html