膏肓記

歴史作家桐野作人のブログ  織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記

 
久しぶりに大河ドラマを見た。
第16回「運命の出会い」

前回見逃したので、諏訪攻めのいきさつがよくわからなかったが、一番不思議だったのは、諏訪頼重降伏後も桑原城に由布姫を含む諏訪勢が立てこもっていたことである。主君が降伏した時点で空き城になったか破壊されたのではないだろうか。

甲府に送られた頼重だが、史実では弟の頼高も一緒で、ともに自刃したはずだが、ドラマでは省略されていた。ストーリーを複雑にしないというか、頼重と禰々の愛を強調するためには致し方ないだろう。

そういえば、20年前の大河「武田信玄」では、頼重を坂東八十助(現・三津五郎)が演じていた。そして幽閉された東光寺から女装して脱走したところを、晴信に見咎められて斬られるという筋だったが、今回のほうが史実に即していてオーソドックスでよかったのではないか。

ついでにもうひとつ。禰々は夫が自刃されられた心痛のためか、翌天文12年(1543)正月に他界する。弱冠16歳という。
桜井幸子、どうみても16歳には見えないよなあ(笑)。彼女の代表作は何といっても、白馬童子じゃなかった、森田童子の主題歌でも話題を呼んだ「高校教師」である。禰々はだいたいそのドラマでの年齢だったわけだから、歳月は移ろうものである。

勘助と由布姫との出会いは以前本欄で想像したのと当たらずとも遠からずだったな。摩利支天の彫り物を媒介に、ミツと由布姫が重なり合うという筋書。私にも予想できるくらいだから、陳腐な設定だったのでは。

さて、ヒロイン由布姫を演じる柴本幸はどうだろうか。演技や表情が堅いというか、いまいちだな。新人だから致し方ないけれど、目力はありそうだから、強気な性格をそれでうまく表現できたら、まあまあ見られるかもしれないが……。

今回、由布姫が生き残るいきさつでの、彼女のセリフは変だった。命が惜しくて死ねなかったというのと、生き地獄をこの目で見てみたい云々というセリフは明らかに矛盾している。これでは、勘助が彼女を助ける動機づけが弱くないか。
これは彼女のせいではなく、脚本家のせいである。この脚本家、改まった能書きというか決めゼリフを言わせる場面で破綻することが多い。要するに、肝心の場面をうまく決められないのだ。これではクライマックスが説得的でないばかりか高揚しないし、次につなげられない。これって脚本家にとっては致命的な欠陥のような気もするが……。