膏肓記

歴史作家桐野作人のブログ  織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記

 
鹿児島史話

鹿児島の歴史研究の泰斗、芳即正(かんばし・のりまさ)氏の新刊。今年で御年92歳になられるようだ。一層のご健勝をお祈りする。

書名:鹿児島史話
著者:芳 即正
版元:高城書房(たき〜)
刊行年:2007年
定価:3.800円+税


地元の高城書房が版元。あまり県外に知られていないと思われるので、ぜひ紹介したい。詳しくは高城書房のサイトで。

芳氏がこれまで雑誌などに発表された論考や講演を一冊にまとめたもの。内容は、鹿児島の幕末維新史が中心で、とくに西郷隆盛に関する記述が多い。
大きな目次だけ紹介する。

一、安政五年西郷隆盛への島津斉彬密命
二、西郷隆盛と島津久光
三、西郷隆盛と島津久光再論
四、西郷赦免動議の時期と理由
五、島津久光・西郷隆盛と最後の将軍徳川慶喜
六、薩長同盟〜久光と西郷
七、英医ウィリスと西郷隆盛
八、西郷隆盛と橋本左内―将軍継嗣問題の軌跡―
九、元治元年の西郷隆盛
一〇、鹿児島県令大山綱良と私学校
一一、西郷隆盛の出生と家族・縁戚略説
一二、明治後期の鹿児島と社会主義
一三、芳あて山川均の手紙
一四、鹿児島新聞創刊日誤伝の謎
一五、かくれ念仏と講組織
一六、薩摩琵琶歌と島津重豪
一七、天璋院篤姫入輿(嫁入り)問題―通説への疑問―
一八、堀孝之と鹿児島―薩藩留学生の通訳―
一九、西田橋「ぎぼじ」の製作年代
二〇、幕末における島津久光の評価
二一、家禄処分と鹿児島士族―桂久武の不安―
二三、お由羅騒動の話
二四、島津斉彬の海外情報源
二五、大山綱良遺言書
二六、調所広郷の脇差送り状


興味深い論考が多い。
個人的には、三、七、一〇、一七、一八、二四などが興味深い。
天璋院篤姫の入輿について、芳氏は『日本歴史』にも論文を発表していたが、一七は講演でそれをかみ砕いて話している。とくに島津斉彬が将軍継嗣問題を有利に運ぶために篤姫を大奥へ送り込んだという通説を覆している。
考えてみれば、当たり前のことで、一大名の一存で徳川将軍家の御台所を決められるはずがない。芳氏は、むしろ徳川家からの要請だったことを明らかにしている。このあたり、来年の大河に反映させないと、制作側の勉強不足だと言われよう。

幕末薩摩藩に興味のある人には必携ではないだろうか。

 
本欄では政治ネタは書かないつもりでしたが、この新聞記事には驚きました。

日本もついにここまで来たかという感じです。
東京都の有権者の見識が問われそうです。

戦後レジームからの脱却とは、戦前戦中レジームへの回帰への道だと思わざるをえません。