昨日、歴史学研究会大会に参加した。会場は東大駒場キャンパス。この会は日本史関係で一番大きな学会である。
いつもは近世史部会に行くことが多いのだが、今回は中世史部会に参加。
研究会仲間の若い友人である川戸さんが運営委員として司会していた。頼もしい。最新の論文もいただいた。拙ブログでも教えていただいたことをさらに詳しくまとめている。有難うございます。
統一テーマは「在地領主の組織編成と機能」。
報告は2本(敬称略)。
田中大喜「在地領主結合の複合的展開と公武権力」
菊池浩幸「室町・戦国期在地領主のイエと地域社会・国家」
まったくの門外漢なので、あくまで印象批評として。
田中報告で興味深かったのは、交通・流通あるいは金融の中心である町場を介して、在地領主たちの一揆結合が結ばれるという点。町場が領主たちの共同利害の舞台であることがわかった。
あと、惣領と家督の融合という視点。
両者は同じものだと思っていたが、そうではないらしい。惣領職は幕府から補任されるものではなく、在地領主(御家人)の自称だったという点。それを幕府が追認して、幕府法で保護を加えたということらしい。
妥当な見解なのかどうか批評力を持ち合わせていないが、面白かった。
菊地報告は、難しい内容にもかかわらず、意外とわかりやすかった。概念の整理がうまく、論旨が明確だったからだろうか。
「イエ」の構成員が、家督・一家(庶家)・被官人であること。被官人のなかに根本被官人とは別に、在地被官人(沙汰人など)がいること。彼らが村落共同体と接点をもつ有力者であり、彼らを取り込みつつ、在地諸集団への支配が貫徹されようとしていたこと。
ちょっと気になったのは「国人領主」のとらえ方。
「在地領主」ではなく「国人領主」の語を積極的に使いたいとのことで、その根拠は在地領主が幕府・守護に奉公する側面を重視し、それゆえに「国人」であるというとらえ方。「国人」って、そういう意味なのかなと思った。
やっぱり中世は難しい。
歴研大会といえば、歴史関係出版社が出店を出しており、通常より廉価で買えるので、これを目的に参加する人もいるくらい。
今日の成果は、
河内祥輔『日本中世の朝廷・幕府体制』 吉川弘文館 2007
脇田晴子『天皇と中世文化』 吉川弘文館 2003
森下徹編『武士の周縁に生きる』 吉川弘文館 2007
太向義明『長篠合戦』山梨日日新聞社出版部 1996
大藪 宏『戦国武田の黒川金山』山梨日日新聞社出版部 1995
それと予約したのが、
『東京大学史料編纂所影印叢書』の第1期6冊のうち、
『島津家文書―歴代亀鑑・宝鑑―』 八木書店
国宝となった島津家文書のうち代表的な文書の影印版である。
少しはこれで勉強しよう。
それと電子出版物の朗報。
東京堂出版から『くずし字解読用例辞典』CD-ROM版がこの7月にも発売されるようだ。くずし字辞典の煩雑な使い方がある程度解消されるかも。
手書き入力でも該当文字候補を検索できる機能がすごいと思う。