
友人の調所一郎氏が4年前に上梓した本の改訂増補新版である。ご恵贈いただき感謝。
これまで初版から改定増補版、改定増補版二刷、そして今回と増補を重ねながら何度も版を重ねてきた。
この種の特殊な業界の本にしては、ベストセラーといってよいのではないか。
「拵」は、刀剣の外装一式を意味する。鞘・鍔・柄などすべてを含む。
私は調所氏とこの本によって、薩摩藩に伝わる薩摩拵なる概念を初めて知った。その特徴は実戦本位で驚愕的なものだった。いくつか覚えているのをあげると、
鍔が極端に小さいこと(鍔競り合いを禁じているのと、トンボの構えのとき、鍔が耳にあたらないように)。
返角の形状(帯から抜けやすくなっている)。
柄の反り(通常の刀と異なり、内反りになっている)
そうした知識を前提に、幕末薩摩藩士の写真を見ると、薩摩拵の刀剣をほとんどが所持していることがわかったのも驚きだった。
刀剣に興味のある方には必携かもしれない。
薩摩拵(改訂増補新版)
著者:調所一郎
版元:里文出版
定価:2.800円+税
体裁:A5版、152頁、カラー写真多数
なお、調所氏には最近、鹿児島の黎明館で開催された企画展「薩摩刀 波平―武の国の刀工―」の図録も頂戴した(写真参照)。こちらも感謝。
調所氏はこの展示の企画に関わり、展示中、講演も行っている。拵だけでなく、刀剣そのものにも造詣が深い人である。とくに薩摩藩独特の刀工波平の由緒・技術などについて一家言もっている。