膏肓記

歴史作家桐野作人のブログ  織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記

 
徒然の日次記。

17日(木) 
外出。寒風が体にこたえる。
神保町の某誌編集部に行き、編集長と打ち合わせ。
信長ものの変わった企画。昨秋あたりからあれこれ話し合っていたのが、ようやく具体化。これまでほとんど知られていない絵画史料だが、面白がってもらえたらいい。100頁の特集記事とのことで、大変だ。

その足で、某女子大に行く。兼見卿記の輪読会である。これは織豊期の公家で、吉田神道の元締めでもある吉田兼見の日記。
本日の担当者は小生。時間がなくて、当日、おこしを作ったのが災いした。干支を間違えるわ、「訖」をなぜか全部「畢」にしてしまうなど、誤変換が目立つ。「渋柿」を読めなかったのはショックだった。

最近、ブログの記事を書いたあとも、よく読むと、てにをはの間違いや誤変換が非常に多い。目も悪いのだろうが、歳月人を待たずである。加齢による諸機能の劣化は如何ともしがたい。

日記は天正15年(1587)8月あたり。秀吉が九州陣から帰ってきた頃である。
担当部分は、あまり面白みのない日常的な出来事ばかりだったが、その割には大意が取りにくかった。兼見卿記の通弊だが、主語と目的語の区別がよくつかない。日記の主のせいにして、自分の力不足をとりあえず棚に上げておく。

輪読会仲間でリンク先でもあるK戸さんから最近の論考・書評など、一挙に3点を恵贈される。
近年、素晴らしい勢いで論文を量産していて頼もしい。しかも、中世社会経済史から政治史まで研究の幅を広げているように見受ける。これから活躍が楽しみな研究者である。

せっかく神保町に出たので(といっても2日ぶりだが)、輪読会の前に三省堂書店に立ち寄る。

小川原正道『西南戦争―西郷隆盛と日本最後の内戦―』中公新書 2007年

を購入。
西南戦争の新書刊行は久しぶりではないだろうか。
幕末維新史や近代史研究の中でも、西南戦争のそれは遅れている。
近年、西南戦争についての全国的な史料調査も試みられているとも聞くが。

最近購入した古書

法橋玉山著『絵本太閤記』上・下 東都文事堂 1886年

絵本太閤記は江戸時代の版本だけでなく、明治以降にも活発に出版されたらしい。ただ、120年前の本なので、それ相応に傷んでいる。

『張州雑志』1〜11巻  愛知県郷土資料刊行会

全12巻だから、最終巻だけ欠。でも、意外と廉価だったので購入。欠巻はおいおい単品で手に入れよう。初期信長や織田家の必須文献。これまで一部コピーはあったが、できれば全部揃えたほうがいいと思った。

『島津家書翰集』 日本史籍協会叢書127

とっくにもっていてよかった本だが、なぜか縁がなかった。少し読んで、さっそく「さつま人国誌」のネタを見つけた。元をとった気分。
 
時事問題を鋭く分析することで定評があるサイト。ここです。

歴史問題もよく哲学的に分析していて興味深く読んでいたが、今回は珍しく明治維新に触れていた。しかも、中岡慎太郎に焦点を当てているところがにくい。

明治維新がフランス革命やロシア革命と同じ革命であったこと、また革命はよく輸出されるという指摘に刮目した。前者は前から私もそう考えていたので、とくに後者。

私もよく比喩的に、明治維新を担った連中はお節介焼きで、自分たちの成功体験を他国の人にも味わってもらいたかったのか、とくにアジア諸国に一種の使命感をもって「輸出」したい衝動を押さえきれずにいたと説明していたが、そのものズバリの指摘に驚いた。
この指摘を敷衍すれば、いわゆる「征韓論」も「革命の輸出」という観点でとらえることもできるかもしれない。輸出されたほうが有難迷惑なのは、古今東西共通していると思うが。