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歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
三好氏研究で知られる天野忠幸さんから表題の研究書(清文堂出版刊)を恵贈される。
謹んでお礼申し上げます。

まだアマゾンなどには掲載されていないようです。
ここに記事がありました。

天野さんの仕事には、これまで信長の畿内支配や四国政策について貴重な示唆をいただいていたが、今回、これまでの三好氏研究を新稿も含めて集大成されたのが本書である。
タイトルが「三好氏~」ではなく「三好政権~」となっているように、三好政権を織豊権力という統一政権へとつながる「プレ統一政権」と積極的に位置づけているところにその眼目がうかがえる。

先日の織田権力のシンポでも提示された諸課題ともリンクする重要な視点が提起されているように思う。
従来、戦国大名が生成されず、将軍や守護が没落し、衰退と停滞のイメージで語られることが多かった畿内政治史や畿内社会のありようを解明し、三好政権の形成を積極的に評価している。
とくに地域からの視点、都市についての着目に大きな特徴があるように感じた。
また摂津の芥川城が単に摂津支配の拠点というだけでなく、三好政権の畿内支配の要であるという指摘などは興味深かった。織田権力における安土城との位置づけとも関わってくるのかもしれない。

三好氏ならびに三好政権の研究に新たな地平を切り開いたものであり、今後の研究に不可欠な一冊だと思われる。

とりあえず、本書の構成と意図がわかるように章見出しを掲げておきます。

 序 章 戦国期畿内権力研究の成果と課題

第一部 国人編成と地域支配

 第一章 摂津における地域形成と細川京兆家 
 第二章 三好氏の摂津支配の展開
 第三章 荒木村重の摂津支配と謀反
 第四章 三好氏の権力基盤と阿波国人
 第五章 三好氏の広域支配と和泉
 補 論 三好一族の人名比定について

第二部 三好政権と畿内社会

 第一章 大阪湾の港湾都市と三好政権
 第二章 大阪平野の都市ネットワークと三好政権
 第三章 畿内における三好政権の支配構造
 第四章 三好政権と将軍・天皇

 終章 結論と展望


 あえて触れなかったが、第一部第三章の荒木村重、第二部第四章の三好政権と将軍・天皇との関わりなど、興味深い論点も提示されていることを付けくわえておきます。

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【2010/06/20 19:54】 | 新刊
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