歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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南日本新聞連載「さつま人国誌」第218回
―京都邸「御花畑」に触れる―

連載が更新になりました。
同紙サイトのここか、右のリンク欄「さつま人国誌」をクリックしたらご覧になれます。

今回は予告したとおり、新出の小松帯刀書簡の紹介です。
年次は慶応3年(1867)で間違いないと思います。
ちょうど四侯会議の頃です。

記事にも書いていますが、この時期、英国公使パークス一行が大坂から伏見を経由して越前敦賀まで旅行します。その目的はよくわかりませんが、越前藩などは敦賀も開港させるつもりかと警戒したようです。
問題は一行が伏見を通過したことです。
京都は天皇が住まうところなので、外国人の入京は堅く禁じられていました。そしてすぐ近くの伏見を通過したことさえ、攘夷派によって問題視されました。

発端は土佐脱藩士が攘夷派公家の鷲尾隆聚(のち高野山挙兵のリーダー)や滋野井実在・公寿父子に働きかけ、彼らが二条摂政を突き上げたところ、二条はあっけなく武家伝奏と議奏をすべて罷免してしまいます。
これにより、この両職にどういう政治的立場の公家を任命するかで、薩摩藩と幕府の間で激しい駆け引きがくり広げられます。

この一連の事件をパークスの伏見通過から意図的に仕組んだのが小松帯刀だと、会津藩の秋月悌次郎などは強く主張しています。小松がその直前、大坂でパークスと会見しているのがその証左だというわけです。
となると、土佐脱藩士の背後で糸を引いていたのも薩摩藩ないしは小松ということになりますね。また会津藩が薩摩藩の要人の行動をよく把握していて、その情報収集能力にも驚かされます。

この土佐脱藩士が誰なのかよくわかりませんが、中岡慎太郎の日記『行行筆記』によれば、鷲尾・滋野井らが二条摂政に抗議する前日、中岡は正親町邸で鷲尾・滋野井らと会っていることがわかります。したがって、土佐脱藩士のなかに中岡が含まれることはほぼ確実だろうと思います。そうであれば、中岡がそのリーダーだった可能性が高いですね。

中岡と薩摩藩の間にひそかな連携があったか否かですが、中岡は正親町邸での会合と同日に吉井幸輔と会っていることは日記で確認できます。吉井は小松に同行してパークスにも会っていますから、中岡と小松が直接ではないにせよ、つながっていた可能性もないとはいえません。

一方、今回の小松書簡には、小松自身がこの一件の事情がよくわからず、あとからわかったと書いています。この言葉を信じるなら、小松の画策ではないし、中岡たちとの共謀の可能性もぐっと低くなります。

宛所が国許の家老桂久武なので、ウソを書くとも思えないという気はします。もし小松がひそかに画策したのなら、むしろ、この一件には沈黙を守るのではないかと思います。

あと、私がずっと関心をもっていた小松の京都邸「御花畑」について、小松自身がこの書簡で触れていました。久光の「御成」に感激したと書きとめています。
「御花畑」が小松の京都邸だったことは、ほかの史料ですでに判明していますが、小松自身が言及したことがとても感慨深いものがあります。

かなり長文なので、全文を紹介できないのが残念ですが、この書簡の閲覧・撮影と発表を許可していただいた所蔵者の方に厚く御礼申し上げます。

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【2011/12/19 17:11】 | さつま人国誌
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不思議
桐野
19:45現在、同紙サイトに記事が載っていません。
17:00頃には一度掲載されていたのを見たのですが、その後、消えています。何かトラブルがあったのでしょうか? 不思議です。

先日の「ファミリーヒストリー」
ばんない
こんにちは。

先週金曜日の昼に再放送されていた物を偶然拝見していて、桐野さんが出演されていたので驚きました。

普段は有名人のご先祖捜しをする番組ですが、その日はたまたま素人さん特集で、カナダ人男性がご先祖を探しに来るというコーナーで「田尻務」と言う人物が紹介されましたが、この人物は別名「田尻種賢」ともいい、赤山靭負・桂久武の兄弟で、また子孫は外国に渡航して客死までしていたというのも初めて知り興味深かったです。
しかし、子孫も3代経ると容貌には全く日本人の痕跡も残ってませんでしたね(^^;)

個人的にはご近所関係のご先祖も登場していて興味深かったです。そちらも祖母が外国人と言うことなんですが、やっぱり孫になると全く日本人顔ですね。

田尻という名字はどこかで見た記憶だけはあったんですが、意外にも桐野さんのブログでも取り上げていなかったので兄弟の桂久武が登場していたこの記事にコメントさせてもらいました。

田尻務
桐野作人
ファミリーヒストリーの再放送をご覧になったのですね。
田尻務については、一応、前から知ってはいたのですが、新聞連載にまとめるだけのネタがないと思っていました。
今回、依頼があっていろいろ調べましたら、屋敷の場所とか、霧島神宮宮司罷免の理由などがわかりました。放映はされていないですけど。
罷免のほうは、西南戦争直前、県令大山綱良が西郷上京を各方面に知らせるため、県庁の役人などを派遣していて、田尻もその一員となり、おそらく東京に派遣されたと思います。田尻は慶応年間、久光の側役をつとめており、大久保利通の書状を久光に取り次いだりしていて大久保と交流があったので、その縁からの派遣だと思います。ただ、上京の様子が史料でよく確認できません。
また、田尻がこの任務を嫌がっており、再三固辞したようですが、大山に無理矢理引き受けさせられたことは史料で確認できました。
そのせいもあって、戦後、田尻は拘束されましたが、罪には問われず釈放されています。もっとも、宮司は罷免させられましたけど。
その史料を番組にも出ていた子孫の方(鹿児島市在住)に制作会社通じて渡してもらったら、西南戦争加担の一件で肩身の狭い思いをしていたけど、少し楽になったと喜ばれたようです。


田尻務
ばんない
御返事ありがとうございました。

田尻は兄弟関係から西南戦争に絡んで、その結果宮司罷免になったのかと思ったのですが、そうではなかったのですね。

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コメント
この記事へのコメント
不思議
19:45現在、同紙サイトに記事が載っていません。
17:00頃には一度掲載されていたのを見たのですが、その後、消えています。何かトラブルがあったのでしょうか? 不思議です。
2011/12/19(Mon) 19:46 | URL  | 桐野 #hxjklqKc[ 編集]
先日の「ファミリーヒストリー」
こんにちは。

先週金曜日の昼に再放送されていた物を偶然拝見していて、桐野さんが出演されていたので驚きました。

普段は有名人のご先祖捜しをする番組ですが、その日はたまたま素人さん特集で、カナダ人男性がご先祖を探しに来るというコーナーで「田尻務」と言う人物が紹介されましたが、この人物は別名「田尻種賢」ともいい、赤山靭負・桂久武の兄弟で、また子孫は外国に渡航して客死までしていたというのも初めて知り興味深かったです。
しかし、子孫も3代経ると容貌には全く日本人の痕跡も残ってませんでしたね(^^;)

個人的にはご近所関係のご先祖も登場していて興味深かったです。そちらも祖母が外国人と言うことなんですが、やっぱり孫になると全く日本人顔ですね。

田尻という名字はどこかで見た記憶だけはあったんですが、意外にも桐野さんのブログでも取り上げていなかったので兄弟の桂久武が登場していたこの記事にコメントさせてもらいました。
2015/09/08(Tue) 14:12 | URL  | ばんない #kyBjvhlc[ 編集]
田尻務
ファミリーヒストリーの再放送をご覧になったのですね。
田尻務については、一応、前から知ってはいたのですが、新聞連載にまとめるだけのネタがないと思っていました。
今回、依頼があっていろいろ調べましたら、屋敷の場所とか、霧島神宮宮司罷免の理由などがわかりました。放映はされていないですけど。
罷免のほうは、西南戦争直前、県令大山綱良が西郷上京を各方面に知らせるため、県庁の役人などを派遣していて、田尻もその一員となり、おそらく東京に派遣されたと思います。田尻は慶応年間、久光の側役をつとめており、大久保利通の書状を久光に取り次いだりしていて大久保と交流があったので、その縁からの派遣だと思います。ただ、上京の様子が史料でよく確認できません。
また、田尻がこの任務を嫌がっており、再三固辞したようですが、大山に無理矢理引き受けさせられたことは史料で確認できました。
そのせいもあって、戦後、田尻は拘束されましたが、罪には問われず釈放されています。もっとも、宮司は罷免させられましたけど。
その史料を番組にも出ていた子孫の方(鹿児島市在住)に制作会社通じて渡してもらったら、西南戦争加担の一件で肩身の狭い思いをしていたけど、少し楽になったと喜ばれたようです。
2015/09/08(Tue) 17:25 | URL  | 桐野作人 #hxjklqKc[ 編集]
田尻務
御返事ありがとうございました。

田尻は兄弟関係から西南戦争に絡んで、その結果宮司罷免になったのかと思ったのですが、そうではなかったのですね。
2015/09/09(Wed) 17:22 | URL  | ばんない #kyBjvhlc[ 編集]
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