歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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薩摩浄福寺党

先日、京都に行って、島津歳久ゆかりの浄福寺を訪れた。
訪問後、京都の友人から、幕末期、この寺に薩摩藩邸では収容しきれなかった藩士が一時期滞在して、書院の柱などに斬りつけた刀傷が残っていると聞いて、少し悔しい思いをした。

それがきっかけで、司馬遼太郎がこのいきさつを小説に書いていると知り、古書で購入。表題が書名になっているが、短編集で8編収められているうちのひとつ。

司馬遼太郎傑作シリーズ
書名:薩摩浄福寺党
版元:講談社
刊行年:1966年
定価:290円


この作品が実際に書かれたのは刊行年より少し前だろう。司馬遼太郎の初期の作品といえる。判形はB6版だが、定価が時代をよく表している。収録された短編は次の通り。

1,慶応長崎事件
2,薩摩浄福寺党
3,倉敷の若旦那
4,五条陣屋
5,おお、大砲
6、絢爛たる犬
7,壬生狂言の夜
8,侠客万助珍談


1はイカロス号事件の顛末。嫌疑をかけられた海援隊士の菅野覚兵衛と佐々木栄の話。
3は元治元年(1864)、倉敷の幕府代官所を襲撃した長州の第二奇兵隊の物語。
4と5は天誅組の話。7は新選組隊士松原忠司の話。
という具合で、だいたい幕末に題材をとったものが多い。

肝心の「薩摩浄福寺党」は、架空の薩摩藩士肝付又助というぼっけもんがはね上がって、新選組との些細な諍いで斬られて死ぬという話。~党となっているから、何か特別任務をもった集団かと思ったが、そうではなかった。思わせぶりなタイトルではある。
また、寺ゆかりの歳久の話は何も書かれていなかった。なぜ薩摩藩士が浄福寺を宿営地にしたのか。それは歳久との因縁しかないと思うのだが……。

それはともあれ、全体的に非常に軽妙で読みやすい。司馬遼太郎はむしろ短編の名手ではなかろうか。
国民的大作家だが、まだあまり知られていない初期の作品があるようだ。もっとも、私が不勉強で知らないだけかも知れないが(爆)。
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【2007/05/07 20:33】 | 古書
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