歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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島津義秀氏

昨夜(厳密には一昨日の夜)、恒例の薩摩の会が都内恵比寿の某所であったので、参加した。

この会は、加治木島津家の当主、島津義秀氏(精矛神社宮司)が上京する度ごとに歓迎会的に開かれているものである。内輪では参勤交代とも呼んでいる。

加治木島津家とは、薩摩島津家の一門家(四家)のひとつである。残りは重富・垂水・今和泉の三家である。数多い島津家一門のなかで本宗家に次ぐ家格で、本宗家の家督が絶えたときは、この四家から後継者を出すしきたりになっていて、加治木島津家からは「蘭癖大名」の異名をとる島津重豪が出ている。
したがって、その後の斉宣―斉興―斉彬―茂久(忠義)とつづく島津本宗家は、すべて重豪以来の加治木島津家の血筋ということになる。

また、再来年の大河ドラマの主役、天璋院篤姫は加治木家と同格の今和泉家の姫で、本宗家の島津斉彬の養女となり、さらに摂関家の近衛家の養女となってから、将軍家定の御台所になっている。

いつもの居酒屋とは違う、オシャレなパーティー会場。参加者は数十人で、知った顔が何人か見える。
会は、まず義秀氏の薩摩琵琶から始まった。鹿児島では薩摩琵琶は武士の嗜みのひとつで、芸事ではないという位置づけから、宴会では必ず酒宴の前に演奏するという。今回もそのしきたりに乗っ取った形で行われた。

演題は「城山」である。いうまでもなく西郷隆盛の終焉をテーマにしたもので、作詞は勝海舟である。
悲愴かつ勇壮な調べである。乾いた高音の薩摩琵琶の音色と、義秀氏の絞り出すような哀切な唄声がよくマッチしていた。それにしても、見事なバチ捌きである。鹿児島でも有数の弾き手であり、国内ばかりでなく海外の演奏活動にも出かける国際人ならではである。

以前、韓国料理屋で同会を開いたとき、義秀氏から島津義弘の関ヶ原退き口の琵琶を演奏してもらった。私も一部知っている歌詞があって楽しかった。そのときとくらべて、会場の性格やキャパの関係からか、反響する高音が印象的だった。

その後、友人で薩摩拵の刀剣収集家兼研究者の調所一郎氏(調所広郷子孫)や、日清戦争などで活躍した村田銃を発明した村田経芳の子孫、鹿児島出身の俳優、三浦浩一氏のマネージャーさん、古文書講座の受講生の方などと歓談。
加治木島津家の家老筋で、かつて島津義弘の家来として関ヶ原の退き口から無事生還した曽木五兵衛の子孫、曽木重隆氏にもご挨拶。
曽木氏は野太刀自顕流の達人である。背筋がピシッと伸びて矍鑠とされている。いつみても、惚れ惚れするような古武士の風格である。

その後、写真家の山本陽子氏の作品がスクリーンで紹介された。薩摩拵の太刀や、義秀氏や曽木氏の野太刀自顕流の稽古風景など、躍動的なテーマなのに、その瞬間を逃さずに見事に切り取った印象的な作品だった。
日頃は神楽坂の芸妓さんなど極めて女性的な作品が多い方なのに、それとはまったく対極にある男性的な野太刀自顕流も追いかけている。
義秀さんが彼女が野太刀自顕流の稽古の撮影に来たときの面白いエピソードを披露してくれた。
野太刀自顕流では寸止めはせず、振りかぶった木刀はそのまま振り下ろす。ところが、彼女は勇敢といおうか無謀といおうか、木刀を振りかぶった義秀さんの正面に回って至近距離から撮影しようとしたので、このままでは彼女の頭を割ってしまうと思った義秀さんは一瞬で彼女を蹴飛ばしてよけさせたという。
凄まじい話で、どちらもさすがのプロ根性である。

その後、今回の特別ゲストが登場。
何と、シンガーソングライターの原田真二氏である。
さっそくミニライブとなった。往年のヒット曲「てぃーんず ぶるーす」や「キャンディ」も生で聴けた。甘い唄声は健在だった。
かつてカーリーヘアの愛くるしい容貌の面影はわずかに残っているが、ずっと男っぽくなっていた。
彼は広島出身ということもあり、平和をテーマにしたコンサートを国内外で行っており、とくに鎮守の森コンサートという神社を会場にしたコンサート活動に力を入れているとか。今度、義秀氏の精矛神社でもコンサートを開く計画が進んでいるとか。

ほかにも鹿児島出身の演歌歌手、日高正人氏の「やじろべえ」も聴かせてもらった。この唄、鹿児島で聴いたことがあった。

それにしても、薩摩琵琶からギターに持ちかえて原田真二氏とジョイントする義秀氏の多芸ぶりにも驚かされた。

ほかにも、薩摩の郷中教育を映画化しようという方、関ヶ原の退き口で島津義弘を匿った堺商人の子孫とか、鹿児島の焼酎をメジャーにした仕掛け人の方とか、いろいろ面白い方のご挨拶やご紹介があった。

忘年会ということもあり、いつもと一風変わった会で楽しかった。
多方面からの参加者があって、さぞや舞台裏は大変だったのではないかと思う。裏方をやられた江戸留守居役の方々にも感謝である。お疲れさまでした。高そうな会場と盛りだくさんの企画だったのに、あの会費で大丈夫だったのだろうか。

写真は薩摩琵琶を弾き語る島津義秀氏。

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【2006/12/08 01:01】 | 雑記
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