歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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このところ、忙しくて各種イベントの報告もできずにいます。
少しずつですが、書いていきます。

先月、5月24日(土)午前11時から、霞が関ビルの霞会館で、甲東130年祭が開かれた。
例年は青山墓地で供養祭のあと、直会が開かれるという形だが、130年という区切りのため、場所を変えて規模の大きな祭祀となった。
甲東の命日は5月14日である。例年、この直近の土日に開催されるが、今年は当日、初めて鹿児島でも130年祭が挙行されることになり、ご当主の大久保利泰氏が鹿児島に行かれたため、少し日程がずれた。

会場正面には甲東とその妻満寿の遺影が掲げられている。
今回は130年祭にちなんで記念講演があり、不肖小生が講師をつとめることになった。
開場よりだいぶ前に会場に入った。
出席者は110名ほどだったと、あとで聞いた。
大久保家とその一族、品川弥二郎その他、幕末の有名人の子孫もおいでだった。

演題は、

大久保甲東と有待庵
 ―幕末から明治初年にかけての京都における維新の舞台裏―」

主題は私案のとおりだが、副題は主催者側が考えたもの。少し長かったかも。

有待庵とは、京都の寺町石薬師の大久保利通邸にあった茶室のこと。
甲東がここに居を構えたのは、薩長同盟が成立した慶応2年(1866)春からで、遷都のため、東京に移転した明治元年(1868)6月まで、約2年間ここに住んでいたという。

有待庵は小松帯刀邸から移築してきたというから、薩長同盟成立時には有待庵は小松邸にあったことになり、同盟の「生き証人」というわけである。
話はそのあたりから入った。

有待庵をめぐる逸話については、甲東三男の大久保利武著『有待庵を繞る維新史談』に負うところが大きい。これには、利武みずから現地で取材した多くの逸話が盛り込まれている。
そのいくつかを紹介したが、とくに「大原女」の逸話が出席者の印象に残ったようだ。
これは岩倉具視と親しかった洛北岩倉村の豪農の娘が大原女に扮装して、大久保との間で密書を何度もやりとりしたという話。その本人の談話だから、迫真性抜群である。
岩倉の密書だったので、大久保本人が必ず受け取ったとか、大久保邸の表から入らないで、裏に回って有待庵で大久保に手渡したとか、大久保からいつも褒美をもらったとか、とても面白い。

そして、いつものことだが、せっかくレジュメに載せたのに、また紹介せずに終わった史料が2点もあった。
ひとつは、勝田孫弥『甲東逸話』に収録されている大山巌の回想。これは大山が西郷の、西郷従道が大久保のボディガードをつとめ、懐にはピストルを忍ばせていたという、いかにも幕末の緊張を伺わせる話である。また大山はまだ書生だったせいか、西郷が大久保邸を訪ねたときには、邸内に入れてもらえず、隣家に待機していたとかいう話も面白い。

もうひとつが、大久保邸の近くの紙商の談話で、これも利武が取材したもの。
これには、西郷の下宿が大久保邸のすぐ東隣にあったと書かれている。
これについては、かつて「さつま人国誌」でも紹介したことがある。ここです。
この紙商の家の2階には黒田清隆が下宿していたとか、得能良介や税所篤なども来たとか、極めつけは坂本龍馬も遊びに来たと語っている。
この家は現存しており、その子孫の方にもお会いしたことがある。そのことも紹介できなかった(泣)。

講演終了後も、たくさんの質問があり、なかなかにぎやかだった。
とくに甲東の和歌には関心が高く、私が一度詠み上げただけだったので、何度も詠み上げるよう依頼があった。こんなに反響があるなら、レジュメに書いておけばよかったと少し後悔。ついでに書いておきます。

ときにより血汐の浪もたたせずば 濁り果たる御世は澄むまじ

甲東に対しても少しははなむけになったと思う。

会場には、作家の永井路子さんもお見えだった。最近、岩倉具視の著作を上梓された関係からだろう。明治の華族制度の研究で知られる浅見唯男氏もおいでで挨拶された。ほかにも古写真を研究している研究者をはじめ、薩摩藩士の子孫、出版社関係などたくさんの方々がお見えだった。すべての方に挨拶できずに残念だった。

甲東祭終了後、勝田政治先生(国士舘大学教授)をはじめ、薩摩な仲間たちや私の講座「てらこや」のみなさんと、渋谷にて二次会を挙行。
これまた楽しかった。

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【2008/06/17 13:30】 | イベント
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