歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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最近、仕事に追い詰められてくると、ストレスのために何か吐き出さないと苦しいらしく、思わず「ポニョ、ポニョ、ポニョ~」と宮崎駿最新作の主題歌が口について出ます。CMの刷り込みは恐ろしいもので(苦笑)。

映画じたいは、お子様向けだと思って未見ですが、どうも、ある含意が埋め込まれているのではないかと、ひょんなことから気づかされました。

新聞の投稿欄で見たのですが、映画の舞台になっている港というか海は、備後鞆の浦(現・広島県福山市)だということらしいです。真偽を確認したわけではありません。

もしそうだとしたら、宮崎監督の鞆の浦へのオマージュが込められているのかもと感じた次第。

鞆の浦は古代には大伴旅人の歌が万葉集に収められ、中世は瀬戸内海運の重要な潮待ち・風待ちの湊でした。
近世に入ると、朝鮮通信使が往来し、薩摩藩がらみでも、琉球王朝の慶賀使や謝恩使が往来しました。町のお寺で、音曲を得意とした琉球王族の青年がこの地で病死して葬られている墓を発見したことがあります。ほかにも有名どころでは、山中鹿之助の首塚や平賀源内の供養塔もあります。
そして流浪の将軍足利義昭が仮の御所を置いたのもここです。義昭が住んだという鞆城跡もあり、「鞆幕府」だという研究者もいます。

幕末には、8・18政変に敗れた三条実美ら七卿が滞在しました。
そして、坂本龍馬率いる海援隊所属のいろは丸が紀州藩船と衝突して、鞆津の沖で沈没し、両者の賠償交渉が行われたのもここです。龍馬が宿泊した民家も現存しています。沈没したいろは丸の遺物を引き揚げて展示している記念館もあります。
鞆港
鞆の湾内
雁木
港に残る雁木
七卿
七卿が宿泊した太田家
常夜灯
安政年間に建てられた常夜燈
龍馬
坂本龍馬が宿泊した民家



この港が何より素晴らしいのは、江戸時代の港の景観や施設・機能をそのまま残していることです。江戸時代の港がほとんどそのまま残っているのはここだけです。私たちが知っている江戸時代のイメージの多くは文字や絵画史料によるものですが、鞆の浦には当時の現物がほとんど手つかずで残っているのです。それこそが最大の魅力です。

とくに対潮楼から見た景色は朝鮮通信使も絶讃したように圧巻です。このままでは、この景色も見られなくなります。
現在、この貴重な景観が一気に失われようとしています。港を縦貫する形でバイパスが建設されようとしているからです。

この鞆の浦の貴重な景観が失われることは、日本にとって大きな損失ですし、鞆の浦の住民もこのままでは貴重で魅力的な観光資源を失ってしまうことになります。長い目で見れば、住民の皆さんにとっても、取り返しのつかない損失になるのではないでしょうか。生活と環境を両立させる方法は知恵を絞ればあると思うのは私だけでしょうか。

宮崎監督は鞆の浦のバイパス建設に反対しているとも仄聞します。果たして、そのような鞆の浦の現状を憂慮してのオマージュだったのでしょうか?

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【2008/09/10 01:21】 | 雑記
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対潮楼、私も行ったことがあります。
木内
はじめまして、桐野さんの書籍、欠かさず読ませていただいております。数年前になりますが、対潮楼、私も行ったことがあります。そこからの鞆の浦の風景、潮の流れが美しく、記憶に鮮明に残っています。いつまでも大事に残してもらいたいものです。

ありがとうございます
桐野作人
木内さん、こんばんは。

拙著を読んでいただいて有難うございます。
かなり古い読者でいらっしゃるんですね。感無量です。

鞆の浦、いまのままっでいてくれたらいいですね。


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コメント
この記事へのコメント
対潮楼、私も行ったことがあります。
はじめまして、桐野さんの書籍、欠かさず読ませていただいております。数年前になりますが、対潮楼、私も行ったことがあります。そこからの鞆の浦の風景、潮の流れが美しく、記憶に鮮明に残っています。いつまでも大事に残してもらいたいものです。
2008/09/15(Mon) 22:48 | URL  | 木内 #-[ 編集]
ありがとうございます
木内さん、こんばんは。

拙著を読んでいただいて有難うございます。
かなり古い読者でいらっしゃるんですね。感無量です。

鞆の浦、いまのままっでいてくれたらいいですね。
2008/09/16(Tue) 21:47 | URL  | 桐野作人 #hxjklqKc[ 編集]
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