歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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昨30日深夜から、CATVの時代劇専門チャンネルで、かつての大河ドラマ『春日局』をずっと連続放映している。

すべてに付き合うほど暇ではないが、一回目が本能寺の変を描いていたので観てみた。
1989年放映だから、もう20年近く前の作品である。主演の大原麗子のほかは、父斎藤利三を江守徹が演じていたくらいしか覚えていなかったが、明智光秀が五木ひろしだったのには改めてびっくりした(笑)。

感想を一言でいえば、昨今の大河ドラマよりも、ずっと丁寧に描いており、なるべく史実を重視しようという姿勢が見られるのは好感がもてた。脚本は橋田壽賀子だが、史料や史実の扱い方について、かなり水準が高いと思った。脚本家の出来不出来も性別の問題ではないようだ。

とくに、明智軍が桂川を渡河して、洛中に進軍するとき、斎藤利三が「今日よりわが殿は天下様にお成りになる。下々まで勇み励め」と檄を飛ばすが、これなど『川角太閤記』をほとんどそのままセリフにしたものだった。

ほかにも、利三の友人として海北友松(吉幾三)と東陽坊長盛(ガッツ石松)を登場させるなど、あまり知られていない史実によって、利三の人間像をよく描いていた。

また、海北友松が「まっすぐ立って長刀のような形をした彗星を見た。不吉な前兆ではないか」と語るシーンもあった。
これは『立入左京亮入道隆佐記』や『フロイス日本史』にもちゃんと出てくる怪奇現象である。本能寺の変の予兆を感じさせるよい材料で、この記事を持ち出してきたのは、なかなかだと思った。

利三の息子については諸説あるが、一応三人出てきて、長男利康(杉本哲太)、二男利宗、三男は元服前の○○丸(失念、のち三存か)で、ほぼ『寛政重修諸家譜』に沿っていた。それほど異論のない設定だろう。

斎藤利三墓

写真:京都・真如堂にある斎藤利三(左)と海北友松の墓。隣り合っているところからも二人の親密さがうかがえる。

ただ、ちょっとおかしいところも目についた。
愛宕百韻のとき、光秀が利三など五人の宿老も同道して愛宕山に登っていることである。これは違うのではないか。五人のうち、少なくとも利三、明智秀満(磯部勉)、溝尾茂朝あたりは連歌も詠める連中である。そうであれば、愛宕百韻にも三人共か、そのうちの誰かが連衆(詠み手)に加わっていてもおかしくないからである。

あと、利三の妻について、「お安」と呼んでいたが、出典は何だったか? しかし、稲葉一鉄の娘という設定はちと違うのでは。同じ『寛政譜』によるなら、一鉄の兄通明の娘としたほうが一貫性がある。

とくに利三周辺が気になったのは、私がいまもっとも気にしている人物だからだが……。
ともあれ、昔の大河は最近のと比べれば、かなり良質だったということは確認できた。

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【2006/12/31 18:35】 | 信長
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利三夫人お安
桐野
自己レスです。

春日局の生母が「お安」と呼ばれていたことについて、おぼろげな記憶があったが、出典を思い出せずにした。そしたら、3月に刊行予定の拙著草稿にちゃんと書いていたではないか(汗)。

それは『稲葉家 御家系典』(岐阜県立図書館所蔵)にあり、稲葉一鉄の兄通明(みちあきら)の子貞通の娘で「アン」と書かれていた。これから採ったと思われる。

なお、「アン」の父貞通は一鉄嫡男の貞通とは別人ということになる(従兄弟同士)。

いずれにせよ、これに基づく限り、「アン」は一鉄の娘ではなく、したがって、お福(春日局)も一鉄の孫ではなくなる。



ばんない
本日偶然にCSの「時代劇チャンネル」であの『独眼竜政宗』30話を拝見しましたが、セットも今より格段に豪華ですね。一緒に見ていた家人も最初セット撮影を見抜けませんでした。

時代は進んだのに、ドラマの中身は退化しているとは嘆かわしい限りです。再来年の『篤姫』もおそらくあの『利家とまつ』なみのとんでもない内容になるんでしょうか。

篤姫
桐野
ばんないさん。

大河「独眼竜政宗」はよく出来たドラマでした。セットもよかったのでしょうし、役者たちのやる気がよく表れていましたね。

「篤姫」はかつての大河「翔ぶがごとく」を意識し、それと異なる視点から(つまり殿様や上級家臣から)描くことになりそうで、西郷。大久保だけでなく、これまであまり注目されなかった人物に焦点が当てられそうですね。
「利家とまつ」や「功名が辻」の二の舞だけはぜひ避けてもらいたいと思います。
今年の大河はかなり史実重視ですが、高視聴率です(たぶんに前作の惰性かもしれませんが)。
見応えのあるドラマを作ってもらいたいですね。

利三
市野澤
こんにちわ。

部屋を整理していたら、大河ドラマ『春日局』の一話が出てきました。
中学生の時にオンタイムで見ていて、よくできた内容なので翌週の土曜日の再放送を録画したのを、懐かしく思いながら見ました。

五木ひろし氏の光秀は人が良さそうですね(笑)
一方、『おんな太閤記』に続き、信長を演じる藤岡弘氏は面ライダーでの怪我がなければ、大河ドラマ『国盗り物語』で信長を演じる予定でした。人の運命は分かりませんね。
一話で私も二点、気になりました。

①光秀の謀反の理由
当時の限界というか、これは今も課題ですね。

②自害した信長を確認するだけで、信長の首級を挙げない利三。信長の首級は明智方に取って、必要不可欠です。利三は花も実もある武将と描きたかったのでしょうか?

私は利三が蒲生氏郷に武辺の道を教えた逸話を読んだ時、黒澤明監督の『乱』で井上比佐志さんが演じた鉄修理を連想しました。井上さんに利三役を演じて欲しいです。

井川比佐志?
桐野
市野澤さん、こんばんは。

「春日局」は、私も時代劇チャンネルか何かで、初回だけ観ました。当時としてはよくできたほうではないでしょうか。
ただ、愛宕山に斎籐利三以下重臣たちが勢ぞろいしていたシーンには驚きましたが(笑)。

映画「乱」、そうか、部将たちにはちゃんと名前が付いていたんですね。私は一瞬、「影武者」と勘違いしておりました。


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利三夫人お安
自己レスです。

春日局の生母が「お安」と呼ばれていたことについて、おぼろげな記憶があったが、出典を思い出せずにした。そしたら、3月に刊行予定の拙著草稿にちゃんと書いていたではないか(汗)。

それは『稲葉家 御家系典』(岐阜県立図書館所蔵)にあり、稲葉一鉄の兄通明(みちあきら)の子貞通の娘で「アン」と書かれていた。これから採ったと思われる。

なお、「アン」の父貞通は一鉄嫡男の貞通とは別人ということになる(従兄弟同士)。

いずれにせよ、これに基づく限り、「アン」は一鉄の娘ではなく、したがって、お福(春日局)も一鉄の孫ではなくなる。
2007/01/03(Wed) 16:52 | URL  | 桐野 #hxjklqKc[ 編集]
本日偶然にCSの「時代劇チャンネル」であの『独眼竜政宗』30話を拝見しましたが、セットも今より格段に豪華ですね。一緒に見ていた家人も最初セット撮影を見抜けませんでした。

時代は進んだのに、ドラマの中身は退化しているとは嘆かわしい限りです。再来年の『篤姫』もおそらくあの『利家とまつ』なみのとんでもない内容になるんでしょうか。
2007/01/14(Sun) 00:14 | URL  | ばんない #kyBjvhlc[ 編集]
篤姫
ばんないさん。

大河「独眼竜政宗」はよく出来たドラマでした。セットもよかったのでしょうし、役者たちのやる気がよく表れていましたね。

「篤姫」はかつての大河「翔ぶがごとく」を意識し、それと異なる視点から(つまり殿様や上級家臣から)描くことになりそうで、西郷。大久保だけでなく、これまであまり注目されなかった人物に焦点が当てられそうですね。
「利家とまつ」や「功名が辻」の二の舞だけはぜひ避けてもらいたいと思います。
今年の大河はかなり史実重視ですが、高視聴率です(たぶんに前作の惰性かもしれませんが)。
見応えのあるドラマを作ってもらいたいですね。
2007/01/14(Sun) 12:43 | URL  | 桐野 #hxjklqKc[ 編集]
利三
こんにちわ。

部屋を整理していたら、大河ドラマ『春日局』の一話が出てきました。
中学生の時にオンタイムで見ていて、よくできた内容なので翌週の土曜日の再放送を録画したのを、懐かしく思いながら見ました。

五木ひろし氏の光秀は人が良さそうですね(笑)
一方、『おんな太閤記』に続き、信長を演じる藤岡弘氏は面ライダーでの怪我がなければ、大河ドラマ『国盗り物語』で信長を演じる予定でした。人の運命は分かりませんね。
一話で私も二点、気になりました。

①光秀の謀反の理由
当時の限界というか、これは今も課題ですね。

②自害した信長を確認するだけで、信長の首級を挙げない利三。信長の首級は明智方に取って、必要不可欠です。利三は花も実もある武将と描きたかったのでしょうか?

私は利三が蒲生氏郷に武辺の道を教えた逸話を読んだ時、黒澤明監督の『乱』で井上比佐志さんが演じた鉄修理を連想しました。井上さんに利三役を演じて欲しいです。
2010/02/05(Fri) 16:52 | URL  | 市野澤 #-[ 編集]
井川比佐志?
市野澤さん、こんばんは。

「春日局」は、私も時代劇チャンネルか何かで、初回だけ観ました。当時としてはよくできたほうではないでしょうか。
ただ、愛宕山に斎籐利三以下重臣たちが勢ぞろいしていたシーンには驚きましたが(笑)。

映画「乱」、そうか、部将たちにはちゃんと名前が付いていたんですね。私は一瞬、「影武者」と勘違いしておりました。
2010/02/07(Sun) 00:03 | URL  | 桐野 #hxjklqKc[ 編集]
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