歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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NHK大河ドラマ「篤姫」第46回「慶喜救出

ドラマ進行時点は、慶応4年(1868)正月から2月。

いよいよ鳥羽伏見の戦いの火ぶたが切られました。
錦旗も上がりましたが、前々回でしたか、大久保一蔵が岩倉具視を通じて調製させたようになっていました。実際は大久保が京都妻のおゆうに西陣あたりで生地を買い入れさせ、半分を薩摩藩邸で、残りの半分を長州の品川弥二郎が調製したといわれています。

ただ、デザインが違うのではないかと思います。ドラマでよく使われるデザインでしたが、実際は違うのではないかと思います。このサイトには浮田可成の精密なスケッチがあるようです。

鳥羽伏見の戦いに敗れた慶喜は松平容保などわずかな側近のみ引き連れて軍艦開陽丸で江戸へと逃げ帰りました。
隅田川沿いの浜御殿(現・浜離宮)に勝安房守が急に出仕し、慶喜と対面しておりました。
この場面はほぼ史実だと思われます。1月11日のことです。
「ほぼ」と少し留保したのは、『勝海舟日記』の活字版はいくつかあり、そのうち江戸東京博物館で刊行しているもっとも新しい『勝海舟関係資料 海舟日記(三)』は、底本選定や校閲がもっとも厳密なもの(勝の明治の後筆を除外する態度)だとされていますが、それには同日条に「開陽帰船」とあるのみで、勝の浜御殿への祗候が書かれていません。

一方、勁草書房版『勝海舟日記Ⅱ』では次のように記載されています。

「開陽艦、品海へ錨を投ず。使いありて払暁、浜海軍所へ出張。御東帰の事」

浜海軍所」は幕末に浜御殿の敷地につくられた海軍伝習屯所のことです。勝は早朝、慶喜の命でここに出仕したようです。
江戸博版にこの記載がないのは、明治になって勝が増補追記した別本のほうに記載されているからではないかと思います。
勝はつづけて、次のように書いています。

「初めて伏見の転末を聞く。会津侯、桑名侯ともに御供中にあり。その詳説を問わむとすれども、諸官唯、青色。互に目を以てし、敢えて口を開く者無し」

慶喜以下、顔色も青ざめていて、勝が尋ねても口を開く者がいなかったようです。

今回はさほど書くこともありません。
鹿児島にいる小松が「足痛」で身動きできずに焦燥していました。坂本龍馬とともに構想したという新しい政権とやらは何なのか、その具体像は明らかになりませんね。とにかく西郷・大久保の討幕路線とは異なっているというイメージで描かれていますが、「天皇」中心と「公議=公論」による新政体樹立という点で、双方に違いがあるはずがありません。小松や西郷・大久保、そして龍馬や慎太郎、後藤象二郎・松平春嶽・山内容堂・伊達宗城、みなこれを実現するために努力・奔走を重ねてきたわけで、そうした営為がいかにも異なるように描くのはいかがかと思いますが、もはや詮なきことです。

面白かったのは、それまで常に暗い照明で描かれていた慶喜が、篤姫と会見したときには非常に明るい照明でしたね(笑)。
これこそ、慶喜が篤姫の「家族」になった証にほかなりますまい。わかりやすい演出です。
今和泉家も、斉彬も、家定も、本寿院も、和宮も、田安亀之助も、大奥の女性たちも、そして慶喜もみな家族。何となくヨン様みたいですね(爆)。

このドラマが家族もしくは家族愛を主題としていることはこのことによっても明らかですね。そこが視聴者の涙腺を緩めるのでしょうが。
ただ、この主題を強調するために、抜け落ちたり、歪曲されたり、描かれなかったりする部分があるのもたしかです。
こればかりは制作者の自由ですから、致し方ありませんが。

次回は、江戸開城が描かれるようですね。
幾島も久々に、そして最後の登場です。
個人的には、駿府談判が描かれるのかどうか、山岡鉄舟や益満休之助は登場するのかどうか興味がありますが、まず無理でしょうかね?

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【2008/11/17 16:37】 | 篤姫
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大河ドラマならぬホームドラマ
御座候
近代的な家族観を持ち込みすぎるのもどうかと思うんですけどねえ・・・

『篤姫』を観ていると、大奥が非常に狭い「一つ屋根の下」状態であるかのように錯覚してしまいます。

ホームドラマ
桐野作人
御座候さん、こんにちは。

はい、はっきりホームドラマだと思います。
カツラや着物や刀を着しているだけの違いで、テーマや感覚はほとんどそうですね。
ホームドラマには、政治や思想やイデオロギーや理念などは不必要です。だから、バッサリ切り落とされているわけで。

ですから、時代背景はいつでもどこでもいいことになります。
視聴率がよかっただけに、そんな「大河」ドラマがこれから増えそうですね。

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2008/11/17(Mon) 21:54 |   |  #[ 編集]
大河ドラマならぬホームドラマ
近代的な家族観を持ち込みすぎるのもどうかと思うんですけどねえ・・・

『篤姫』を観ていると、大奥が非常に狭い「一つ屋根の下」状態であるかのように錯覚してしまいます。
2008/11/19(Wed) 12:48 | URL  | 御座候 #kz2iIBPw[ 編集]
ホームドラマ
御座候さん、こんにちは。

はい、はっきりホームドラマだと思います。
カツラや着物や刀を着しているだけの違いで、テーマや感覚はほとんどそうですね。
ホームドラマには、政治や思想やイデオロギーや理念などは不必要です。だから、バッサリ切り落とされているわけで。

ですから、時代背景はいつでもどこでもいいことになります。
視聴率がよかっただけに、そんな「大河」ドラマがこれから増えそうですね。
2008/11/23(Sun) 17:36 | URL  | 桐野作人 #hxjklqKc[ 編集]
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2008/11/18(Tue) 07:00:43 |  旅じゃ.com
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