歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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朝日新聞の別紙「Be」に、磯田道史氏の「この人、その言葉」というコラムが毎週土曜日に連載されている。

磯田氏といえば、ベストセラー『武士の家計簿』(新潮新書)でよく知られている近世史研究者。

7月25日付のコラムは、

「小学校の下級生から判断力をみがいてやることが大切だ。ごく機械的なことから始めていい」

という柳田国男の言葉を取り上げていた。
戦後直後、日本人が付和雷同する傾向があるのに対して、個人の判断力を涵養する必要を、ある雑誌で論じたもの。

磯田氏は、このとき柳田が念頭に置いていたのは、薩摩の郷中教育であり、とりわけ「詮議」という教育方法だと述べる。そして、西郷・大久保が率いた幕末薩摩藩が見事な政局判断を見せたのは、この「詮議」によって、日頃から対処法を考える訓練をしていたからだというのである。
そして、磯田氏は「詮議」を現代の教育現場でも活用できるのではと示唆する。学校は知識ばかり詰めこまないで、判断力を鍛えよとも。

柳田はいうまでもなくもっとも著名な民俗学者だから、鹿児島にも調査に行っているし、「詮議」のことも知っていたに違いない。
柳田の書いた雑誌論文を読んでいないから何ともいえないが、もしそれに「詮議」のことが書かれていないとすれば、柳田と「詮議」がどこでどう結びついたのか、磯田氏の推論は大胆不敵で興味深い。

詮議」は郷中教育(鹿児島城下の地域ごとの青少年組織での自治教育)で、核心的な部分ではないかと思っている。
これは判断が難しい設問を投げかけて、とっさに回答を迫る方法。たとえば、

「あなたの父母が病気で死にかけている。だが、病に効く薬はひとつしかない。さて、どちらに呑ませるか?」
「友だちが盗んだ金をあなたにやると言った。どうするか?」
「友だちが喧嘩になって刀を抜いて斬り合おうとしているところに、あなたが通りかかったらどうするか?」

こういう問題を出して答えさせたうえで、その答えの根拠を次々と追及して究極の解決法を模索していくという、一種の禅問答の在家版のようなもの。

西郷や大久保もこうした「詮議」で日頃の判断力を養ったのだろうか。
では、「詮議」は明治維新の生みの親なのか?

ともあれ、磯田氏の面白い問いかけではある。

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【2009/08/05 20:37】 | 雑記
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