歴史作家桐野作人のブログ                                      織田信長と島津氏・薩摩藩・幕末維新を中心に歴史にまつわる身辺雑記
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今年も歳も押し詰まってきました。

このところ、ご本や論文などをいくつか頂戴しました。
いつもいつも有難うございます。
ご紹介することで、御礼に代えたいと思います。

1.新名一仁氏より
『南九州の地域形成と境界性 ―都城からの歴史像―』
地方市研究評議会編/雄山閣/2010年
昨年秋、地方史研究会が宮崎県都城で開催されたのを記念して刊行された論文集。
12本の論文が収められている。
お送りいただいた新名一仁氏はみやざき歴史文化館の学芸員。
中世史が専門で、今回は「南北朝期島津奥州家の日向国進出―その過程と歴史的意義」という論文を書かれている。島津氏の日向進出は守護職を剥奪された状態で実行されており、守護公権に依拠せずに領国形成を行ったことを明らかにする。その論理は、薩隅日にまたがる「島津荘の支配者」の立場を標榜する独自のやり方だったとしている。今後、他地域や別の時代にも援用されるかもしれない注目すべき見解だと思う。
ほかにも、林匡、山下真一、大賀郁夫の諸氏の論文も興味深い。

2.和田博温氏より
『焼酎はおもしろい―人と酒をつむぐ45話―』
和田博温著/世界書院/2010年
薩摩出身の友人で、薬丸自顕流の達人でもある和田氏より頂戴した。
和田氏は広告マンで酒(とくに焼酎)の専門家・ライターでもある。
この本も鹿児島の焼酎の蔵元を訪ね、綿密な取材調査をもとにしたもの。
また焼酎を縁に、行きつけの飲み屋や焼酎にまつわる人々との楽しい交流が書かれている。
その人脈恐るべし。

3.藤田達生氏より
『信長革命―「安土幕府」の衝撃―』
藤田達生著/角川選書/2010年
織豊期の研究者である藤田達生氏より頂戴した。
精力的に新著を上梓されている。
今回は織田権力を「安土幕府」と規定して、足利義昭の「鞆幕府」と並立していたと説く。
藤田氏は足利将軍家が戦国期に二系統に分裂・並立した点を以前から注目していたから、今回もその延長上の議論であろうか。
織田権力を中近世移行期のなかで、どのように位置づけるかは大きな課題だと思う。それに果敢にチャレンジされているわけで、学ぶべき点がある。
ただ、素朴な疑問として浮かぶのは、それでは「幕府」って何? という点と、織田権力を「安土幕府」と規定すれば、結局、義昭と「鞆幕府」を相対的に高く評価することになるのだろうなという感触がある。果たして、両者は同等と位置づけてよいのだろうか?

4.大西泰正氏より
大西泰正「豪姫のこと」『岡山市地方市研究』122号/2010年
宇喜多氏の若手研究者である大西氏より頂戴した。
今回は宇喜多秀家夫人の豪姫について、その婚姻時期や秀吉消息の豪姫の名乗りなどの史料解釈について論説。
史料的限界があるのか、なかなか難しいらしい。

5.矢部健太郎氏より
矢部健太郎「中世武家権力の秩序形成と朝廷―近衛府の任官状況をめぐって―」『国史学』200号/2010年
研究会仲間の矢部さんからいただいた。
近衛府の官職とくに近衛大将の室町時代から豊臣期までの任官状況を明らかにするとともに、足利将軍と近衛大将はどのような関係にあったのか、近衛大将に任官した将軍と任官しなかった将軍とでは違いがあるのかなど興味深い論説がある。
家格が低かった足利将軍家が義満以来、近衛大将を兼官することにより家格を上昇させ、摂関家相当に位置づけられるようになったという見方はとても面白い。
欲をいえば、信長も近衛右大将に任官しているので、足利将軍家と比較した関説があればと感じた。
矢部氏にはほかに、参加されている研究会の会誌もいただいた。こちらもお礼申し上げる。

6.金子拓氏より
「『兼見卿記』天正十年正本・別本をめぐって―吉田兼見の記憶と日記執筆作法―」 中世史研究会12月例会レジュメ
研究会仲間の金子さんから報告されたばかりのレジュメをいただいた。
『兼見卿記』の天正10年分は正本と別本という2種あるのはよく知られている。
これが大きな話題となるのは、本能寺の変との関わりがあるからである。兼見は山崎合戦前日でいったん日記をやめ、新しく清書しなおしている。
これをどう評価するかについて、金子氏の興味深い見解が提示されている。
そのうち、会誌『年報中世史研究』に掲載されると思うので、詳しくは書きません。お楽しみに。

7.大阪龍馬会より
会誌『龍馬速報』118号/2010年
今夏、大阪龍馬会で講演をしたのを機に、会誌を送っていただいている。
当会には以前史跡探訪にも参加したことがあるが、そのハードスケジュールには舌を巻いた。
また大阪周辺の細かい史跡を史料をもとにチェックする地道な活動が当会の特徴でもある。
伏見や大阪ばかりか、鹿児島の史跡探訪記事があるのに驚く。
ほかにも近藤勇の愛妾とされる深雪大夫がいた大阪新町の「折屋」の所在地を古地図で明らかにし、その場所を訪ねている。その行動力には脱帽。

ほかにもいただいた気がするのですが、もし見落としがありましたら、机まわり混乱のため、申し訳ありません。

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【2010/12/29 22:27】 | 新刊
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